モダンリビング・コラム
下田結花の
「心地よさのつくり方」

<掲載>モダンリビング
設計/ 森山善之+梅木寿人(建築設計事務所バケラッタ)
撮影/下村康典

ダイニングルームは椅子から考える

 あなたはリビングとダイニング、どちらにいることが多いでしょうか。あなたの家族はいかがですか。小さい子供がいる家庭では特にそうなのですが、ダイニングテーブルで過ごす時間がかなり長いのではないかと思います。食事だけではなく、勉強したり、ちょっとした片付け物をしたり、ときには仕事をしたり。取材でもそんな家庭を数多く見てきました。そうしたライフスタイルでは、大きな木のダイニングテーブルが使いやすいものです。こちらの端では子供の勉強、向こうの端ではアイロン掛け。そんな使い方ができるのも大きなテーブルだからこそ。インテリアショップでも、質感の優しい木のダイニングテーブルの需要が増えていると聞きました。

一方、テーブルには意識が向いていても、意外と気がつかないのが椅子です。家族全員お揃い、がまだまだ一般的。でも、お父さんと子供では身体の大きさも違います。背の高さが5センチ違えば、座りやすい椅子のシートハイは変わってきます。ですから理想を言えば、1人1脚ずつ合う椅子が欲しいくらいなのです。それは難しいとしても、全部お揃いにしなくては、という固定概念を捨てましょう。4脚なら2脚ずつ、座面の高さの違うものや、デザイン違いを置くことをお勧めしたいと思います。これならバラバラな印象になりません。

色や素材も思い切って変えてみましょう。革とファブリック、オレンジ色と紫色。写真のように、意外としっくり合ってしまうものなのです。その時々で座る椅子を変えることで、気分も変わります。大きな家具を買い替えるのは難しくても、一部の椅子を新しくしてみるのはいかがですか。インテリアの楽しみがきっと生まれてくるはずです。

下田結花(モダンリビング・パブリッシャー)