モダンリビング・コラム
下田結花の
「心地よさのつくり方」

撮影/下村康典
設計/森清敏+川村奈津子(MDS一級建築士事務所)

小さな寛ぎスペース「コージーコーナー」

 「コージーコーナー」のcozyとは、英語で「居心地のよい、こぢんまりとした」という意味です。家全体の心地よさは、小さなコーナーが積み重なって叶います。ですから、一箇所ではなく、さまざまな場所に、コージーコーナーがあるのが理想です。

 コージーコーナーといっても、難しいことではありません。畳1枚分があればできてしまう、それがコージーコーナー。まずは、坐り心地のよい椅子を1つ用意しましょう。リクライニングの機能や、オットマンがあったりすると、さらにいいですね。そして傍には小さなサイドテーブルを1つ。グラスを置いたり本を置いたり…その程度のものなので、テーブルでなくても、スツールや木の箱、あるいは大きな本を積み上げてでも構いません。手の届くところに、グラスやカップを置くことができる、ということが大切なのですから。

 そしてもう一つが照明です。手元が暗いと、本を読むにも不自由します。できればスタンド式のフロアライトか、テーブルの上に置く照明を。引き寄せられたり角度を変えられたりすると、使い勝手がよいものです。

 椅子、テーブル、照明、これがコージーコーナーの3つの要素。さらに加えるとすれば、足元に小さなラグや、音楽が聴けるシステム、冬は膝掛けなどがあると文句なく快適です。こんなコージーコーナーなら、新しい家具を買わなくても、工夫すればできるのではないでしょうか。家でくつろぐためには自分の居場所が必要です。家族のために、コージーコーナーをつくってみてはいかがでしょう。

下田結花(モダンリビング・パブリッシャー)