第2回

【2016年版】 世田谷区の不動産市況

アベノミクスによって首都圏を中心に上がり続けてきた不動産価格。今後、不動産価格がどうなっていくのか、世田谷区で不動産の購入を検討している方にとっては気になる所だと思います。今回は、最近の不動産市況やマイナス金利の影響など今後の予測を踏まえながら、不動産は買い時なのかを考えてみます。

ここがポイント
  • マイナス金利の導入などによって不動産市況はプラスに
  • 復興需要とアベノミクスで建築価格は高止まり
  • 世田谷区で資産価値が維持できる土地は買い時

1.2016年の不動産市況

2015年の住宅市場は、増税前の駆け込みが終わって落ち込んだ需要が持ち直したこと、低金利や住宅ローン控除の拡充などで購入意欲が高まったことにより、堅調に推移しました。中でもマンションの価格は、土地や戸建てと比べて大きく上昇しました( グラフ1 )。実際に住む人の需要(=実需)がほとんどの戸建てに対し、マンションは投資や相続増税の節税対策などによる需要が大きく影響を与えているからです。気になるのは2016年の推移です。2017年4月の増税前の駆け込み需要は、9月頃がピークと予想されます。前回増税時ほど大きくはないものの、贈与税の非課税枠の拡充や、マイナス金利の導入などによって住宅ローン金利が更に下がるなど、不動産市況にプラスに働くと考えられます。

2.資産価値の高い不動産に対する需要は旺盛

金融緩和がさらに進むと、不動産に向かうお金がさらに増えていきます。そのお金は、必然的に資産価値の高い立地の良い不動産に向かいます。ところが資産価値の高い不動産の価格はかなり上昇しているため、新築マンションや新築建売りの割安感は薄れて中古にも需要が広がっています。では今後価格が下がっていくのかというと、すぐには下がらないと言えそうです。資材価格(グラフ2-1)や大工の人件費(グラフ2-2)が高止まりするなど建築価格に大きく下がる要素がないことに加え、金融緩和が続くこと、ローン減税や住宅資金贈与の拡大、オリンピックなどを考慮すると、資産価値の高い不動産は当面は高止まりが続くのではないでしょうか。

3. 不動産は今買い時か?

(グラフ3)は、東京23区の最近10年間で地価(都道府県地価調査による)が最も低かった2009年とアベノミクスが始まる直前の2012年と2015年を比較したものです。都心の千代田区・中央区・港区、再開発の進む品川区や人気エリアの湾岸地域などは大幅に上昇しています。これに対し、世田谷区は2009年比0.2%、2012年比で4.4%の上昇です。世田谷区の平均坪単価(グラフ4)を見てみると、10年間で価格が上位の土地は2011年を底に上昇した一方、平均地価はほぼ横ばいで推移しています。また、世田谷区は人口約90万人、生産年齢人口も約62万人と23区の中で最も多く、住宅を初めて買う層も厚くなっています。この構造は団塊の世代が75歳を迎える2025年でも変わらないと予測されているため、資産価値を維持できるポテンシャルの高い不動産であれば、十分に買い時であると言えそうです。

筆者:平澤 朋樹(ファイナンシャルプランナーCFP®
平澤FP事務所 代表
金融機関に所属しない独立系のファイナンシャルプランナー事務所を運営。子育て世帯向けの住宅資金計画や住宅ローン選びのほか、生活設計や資産形成を中心とした相談、セミナー、執筆等を行っている。金融・経済の知識や豊富な投資経験に基づく資産運用の相談も好評。
資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、住宅ローンアドバイザー

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