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家づくりの基礎知識

第20回
2025年「省エネ基準適合の義務化」
家づくりや住宅ローンへの影響

省エネ住宅に関する法律が改正され、2025年4月からすべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務となります。今回の法改正で何がどのように変わるのか、自分の家にどのような影響が出るのか、住宅ローンや税制への影響はあるのかなど、さまざまな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、2025年4月からの省エネ基準適合の義務化により、家づくりや住宅ローンにどのような影響が出るのかを解説します。今後、新築住宅の購入や自宅の増改築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

INDEX

【1】省エネ基準とは

省エネ基準とは「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)」で定められている、住宅の省エネルギーを実現する構造・設備などの基準です。省エネ住宅の基準は、大きく以下の2つの項目に分けられます。
● 外皮性能
● 一次エネルギー消費量
それぞれの基準を詳しくみていきましょう。

[1-1]外皮性能

出典:経済産業省 【参考】住宅における外皮性能

外皮性能とは、建物の外壁や屋根、窓など建物を覆っている外皮部分の断熱・日射遮蔽性能を指す用語です。外皮性能は以下の2つの指標で評価されます。
●UA値(外皮平均熱貫流率):断熱性能を表す指標。数値が小さいほど断熱性が高い。
●ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率):日射遮蔽性能を表す指標。数値が小さいほど遮蔽性が高い。

省エネ住宅では、決められた表面積あたりの外皮性能で熱損失量が基準値以下にならなくてはなりません。

[1-2]一次エネルギー消費量

出典:経済産業省 【参考】住宅における外皮性能

一次エネルギー消費量は、住宅で消費されるエネルギーから太陽光の発電量などの新たにつくられるエネルギーを差し引いた値で、住宅の総消費エネルギーを表します。エネルギー消費量を評価するのは、空調・照明・給湯・換気・その他の設備(OA機器など)の5つの項目です。省エネ住宅では、一次エネルギー消費量が基準値以下になる必要があります。

【2】改正の目的と背景

建築物省エネ法が改正される背景として挙げられるのが、気候変動やエネルギー問題を踏まえた世界的な脱炭素社会への流れです。近年、地球温暖化への関心の高まりに伴い、世界的に温室効果ガスや脱炭素への取り組みが進められています。

日本政府も2050年までのカーボンニュートラルを目標に掲げました。目標達成のためには、国内エネルギー消費量の約3割を占めている建築分野でも対策が急務とされており、今回の法改正へと至っています。

【3】省エネ住宅の種類

省エネ住宅は構造や設備によって、いくつかの種類に分けられます。主な省エネ住宅の種類は、以下の4つです。
●長期優良住宅
●ZEH住宅
●LCCM住宅
●性能向上計画認定住宅
それぞれの特徴や違いを解説していきます。

[3-1]長期優良住宅

長期優良住宅は「長期優良住宅認定制度」に適合し、長期にわたって良好な状態で安心して暮らせるよう設計された住宅です。認定されると税制優遇も受けられます。長期優良住宅と認められるには、主に以下の基準を満たす必要があります。
●長期間で使用できる構造・設備
●バリアフリー性
●耐震性
●断熱性
●居住環境への配慮
●一定以上の住戸面積
●災害対策
●維持管理の期間と方法

[3-2]ZEH住宅

ZEH(ゼッチ)住宅は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」とも呼ばれ、エネルギー消費量と太陽光発電などの創出量収支により、年間を通じて一次エネルギー消費量が0以下になる住宅です。ZEH住宅であれば、理論的にはエネルギー負荷がかからず、住宅単位での自給自足が行えます。ZEH住宅の基準を満たすには、高断熱性や省電力、効率の良い換気システムなどが必要です。

2021年のエネルギー基本計画等により、2030年度以降の新築住宅ではZEH水準での省エネ性能確保を目指すと決められています。

[3-3]LCCM住宅

LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅は、建築から解体までのライフサイクルを通じて二酸化炭素の排出量収支がマイナスになる住宅です。ZEH住宅がエネルギー消費にフォーカスしているのに対し、LCCM住宅はより環境負荷を配慮した住宅といえるでしょう。

LCCM住宅では輸送による二酸化炭素の排出量を削減するため、柱などに使用する木材には国産材が推奨されます。

[3-4]性能向上計画認定住宅

性能向上計画認定住宅は、建築物省エネ法第35条に定められた省エネ基準を満たす住宅です。通常の基準よりも高い省エネ性能が求められるものの、認定されると容積率特例などのメリットを享受できます。

新築や改築の際に所管行政庁で認定が行われ、性能向上計画認定住宅と認められるには、外皮性能と一次エネルギー消費量に加えて資金計画などの審査もクリアしなければなりません。

【4】改正ポイント

2025年4月から施行される改正省エネ基準の主なポイントは、以下の2つです。
●省エネ基準適合の義務付け
●建築確認時に適合性審査の実施

それぞれについて、変更点や注意すべきポイントを解説します。

[4-1]省エネ基準適合の義務付け

出典:国土交通省

2025年4月から、すべての新築住宅・非住宅への省エネ基準適合が義務化されます。現行法では、床面積300㎡以下の小規模住宅では施主への省エネ性能の説明、中・大規模住宅では省エネ計算の届出が義務付けられていました。

改正後は一部の小規模な建築物を除き、すべての新築住宅および増改築に対して基準への適合が求められます。

[4-2]建築確認時に適合性審査の実施

出典:国土交通省

改正法施行後は、建築確認手続きで省エネ基準への適合性検査が実施されます。所管行政庁または登録省エネ判定機関に省エネ性能確保計画を提出し、適合性判定を受けなければなりません。省エネ基準を満たさない住宅や必要な手続き・書類に不備のあった場合は、着工や使用開始ができなくなる恐れがあります。

また、小規模住宅で検査の一部を省略できる4号特例も縮小されるため、従来よりも厳格な基準への適合が必要です。

【5】省エネ基準適合住宅に住むメリット

省エネ基準に適合した住宅に住むと、以下のようなメリットがあります。
●健康で快適な居住空間:省エネ基準を満たす住宅は高断熱・高気密で外気の影響を受けにくいため、1年を通して快適な環境で生活できます。また、ヒートショックや血圧上昇など、温度差による体の不調を防止でき、健康リスクを抑えられるのもメリットです。
●光熱費の節約:高断熱・高気密により空調効率も高く、光熱費を節約できます。
●減税措置の適用:省エネ住宅を建てると、住宅ローン控除や不動産取得税など、各種税金の優遇措置を受けられます。

【6】省エネ基準適合住宅に住む際の注意点

省エネ基準適合住宅にはさまざまなメリットがあるものの、家を建てる際には以下のポイントに注意が必要です。
● 省エネ基準によって住宅ローンの減税が変わる
● 太陽光発電や蓄電池などの設備を取り入れる

それぞれの注意点を詳しく解説します。

[6-1]省エネ基準によって住宅ローンの減税が変わる

住宅ローン減税制度を利用する際は、住宅の省エネ基準によって区分が変わり、借入限度額や減税期間が異なります。

出典:国土交通省|住宅ローン減税

各住宅区分の基準を満たしていない場合には、住宅ローン減税自体を受けられなくなる可能性もあるため注意が必要です。

[6-2]太陽光発電や蓄電池などの設備を取り入れる

省エネ住宅を建てる際には、太陽光発電や蓄電池などの設備を取り入れて活用しましょう。自宅でエネルギーを創出・蓄電できる設備があればエネルギー消費を相殺できるため、光熱費の節約につながります。災害による停電が起きた場合などにも電気を使用でき、トラブルへの対策にもなるため安心です。

【7】省エネ基準適合住宅の建築・購入でより快適な住まいに

法改正に伴いこれから家を建てる方は省エネ基準を意識する必要があります。省エネ住宅にはさまざまなメリットがあるため、基準に適合した住宅の建築・購入でより快適な住まいを実現しましょう。

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