第16回
消費税増税まであと10ヶ月?!
消費税10%への増税スケジュール
2019年10月に予定されている消費税増税。引渡しが10月を過ぎると消費税率10%になってしまいます。しかし2019年3月末までに請負契約を結んでおけば、引渡しが10月を過ぎても消費税率8%でよい、というルールもあります。今回は消費税増税スケジュールとその影響を解説します。
- 消費税8%でマイホームを建てるには2019年3月末までに請負契約を結ぶのが望ましい。
- 家づくりを検討しはじめてから請負契約を結ぶまでに5~10ヶ月程度はかかる。
- 建物等で5,000万円の場合、消費税増税での負担増は100万円以上に。
1.増税までのスケジュール
2019年10月に予定されている消費税の増税。土地の購入では消費税は非課税ですが、住宅の建築工事には消費税が課税されます。注文住宅を建てる場合「引渡し」がいつか、で消費税が8%になるか10%になるのかが決まります。引渡しが2019年9月末までであれば消費税率は8%、10月1日以降だと10%になるというのが原則です。
しかしこれだと9月末にかけて工事が殺到し、品質や納期の面でトラブルが起きてしまう可能性があります。そこで注文住宅を建てる場合には2019年3月31日までに工事の請負契約を結んでおけば、引渡しが10月を過ぎても消費税率は8%になる、というルールが設けられています。
つまり、消費税8%でマイホームを建てたいという場合、2019年3月末までに工事請負契約を結んでおくことが望ましいと言えます。
2.家づくりの流れとスケジュール
2019年3月末までに請負契約をした方がよい、ということがわかりましたが、注文住宅を建てるには時間がかかります。おおまかにまとめると以下のような流れで進みます。
※土地購入の場合さらに時間がかかる
家づくりに対する希望の整理や資金計画の検討、展示場等での情報収集をして、ハウスメーカーを決めるまでが3~6ヶ月程度は必要です。依頼するハウスメーカーを決めプランや金額を詰めて契約するまでに2~4ヶ月程度はかかると考えてよいでしょう。つまり、今から家づくりを検討しはじめると請負契約までは5~10ヶ月ほどはかかるということになります。
土地を購入する場合、土地探しだけで半年から1年以上かかる場合もあります。消費税の増税前にマイホームが欲しい方は余裕を持ったスケジュールで動き始めることをお勧めします。
3.負担はどれくらい増える? 増税シミュレーション
最後に消費税の増税でどれくらい負担が増えるのかまとめておきましょう。ここでは消費税の対象となる金額(解体工事や建物工事等)を5,000万円だと仮定します。この場合、以下のように今回の増税で100万円負担が増えてしまいます。
100万円増える分は住宅ローン金額を増やすことで対応する場合、以下のように毎月返済額、総返済額とも増えてしまいます。例えば住宅ローン金額が5,000万円→5,100万円に増えたとし、フラット35SのAプランを利用、金利は当初10年が1.10%、11年目から1.35%(2018年4月のフラット35の最低金利)になるとし、増税前後で変化がないとします。返済年数は35年、元利均等返済とすると返済額は以下のようになります。
その他、諸費用の一部(例えば住宅ローンの融資手数料等)やカーテン・家具・家電の購入代金等にも消費税がかかります。これらを合計して400万円に消費税がかかるとすれば、8万円の負担増となります。
このように、単純に建物金額分の消費税負担が増えるのでなくそれ以上の負担増になることには注意しておきましょう。
今回は消費税の増税スケジュールとその影響について解説しました。消費税率8%のうちに住宅を建てたい方は住宅展示場で情報収集から始めて、家づくりの第一歩を踏み出してみましょう。
監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®)
株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。
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