第27回

2020年度もお得な家づくり!
使える住宅購入支援制度の総まとめ

2019年の住宅ローン金利はフラット35などでやや低下傾向にありました。2020年も引き続き低金利は続く可能性が高いのではないかと考えられます。住宅ローン金利が低いことは住宅購入にプラスであり、住宅ローン減税はじめ、住宅購入者に有利になる制度も多くあります。住宅ローン減税の減税期間は本来10年ですが、2021年12月末までの入居だと特別に13年に延長されます。

ここがポイント
  • 2020年も住宅ローン金利は低いまま、という可能性が高い
  • 住宅ローン減税は2021年12月末まで*の入居だと減税期間が13年に
  • すまい給付金など各制度には利用期限が定められており、スケジュールには注意

※元々の入居期限は2020年12月末まででしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2021年12月末までの延長が予定されています。

1.2020年 住宅ローン金利動向

 直近5年の住宅ローン金利を振り返ると図表1のようになります。フラット35とみずほ銀行の変動金利をグラフにしました。

※フラット35は金融機関によって金利が異なりますが、最低金利をグラフにしています。
なお、2017年9月まではフラット35の金利には団信保険料が含まれていなかったため、比較上、団信保険料として0.28%上乗せした数値を用いています。
※みずほ銀行変動金利は、店頭手続きの金利の最優遇金利。

 フラット35の金利は2019年になり低下しましたが、11月以降はやや上昇しています。みずほ銀行の変動金利は0.625%(店頭手続きの金利)で横ばいでした(ネット専用プランでは0.525%)。変動金利に関しては、2019年にジャパンネット銀行が新たに住宅ローン業務に参入し、0.399%という低い金利を打ち出した影響もあり競争が激化、0.4%台にするところも多くなっています。
 2020年の金利がどうなるかの予測は難しいですが、やはり日銀の政策次第と言えます。新型コロナウイルス感染拡大が経済に悪影響を与えている状況では、金利を上げにくい状況が続くことが予想され、住宅ローン金利も大きく上がる可能性は低いのではないかと考えられます。
 住宅ローンの金利が低くなると住宅購入には有利になります。たとえば2020年4月のフラット35の金利は1.30%ですがこれを5年前と比較してみると、図表2のようになります。

※かつてフラット35の金利には団信保険料が含まれていなかったため、 2015年4月の金利は比較上、実際の金利1.54%に団信保険料として0.28%上乗せした数値を用いています。

 金利が今後どうなるかは分かりませんが、過去と比べれば住宅購入にとっては有利な状況であることは変わりないと言えるでしょう。

2.要チェック!住宅購入支援制度総まとめ

 住宅ローン金利が下がっていることは住宅購入にはプラスですが、さらに、住宅を購入する人には様々なお得な制度が用意されています。代表的なのは「住宅ローン減税」です。住宅ローンを組んで最初の10年間、毎年末の住宅ローン残高の1%分を所得税から減税できる(所得税から減税できない分は一部住民税からも減税可能)というものですが、2020年12月末までに入居する場合、特別に減税期間は13年となります(図表3)。2020年の3月末に、新聞等にて「この特例は1年延長される」という報道がありました。コラムを書いている2020年4月5日現在、正式な発表はまだありませんが、減税期間が13年になるのは、2021年12月末までの入居が対象となる見込みです。

※所得税から引ききれない分は翌年の住民税から課税所得金額×7%(最大136,500円)まで減税できます。
※「建物価格×2%÷3」の計算での「建物価格」は消費税抜きの価格を使い、認定長期優良住宅等の場合5,000万円、一般の住宅の場合4,000万円までとなります。

 住宅ローン減税以外にも、住宅購入者が使えるお得な制度には様々なものがあります(図表4)。

3.各制度は期限に注意

 これらの制度は対象となる期間が定められています。住宅ローン減税の減税期間が13年になるのは2021年12月末までの入居が対象となる見込みです。2021年の12月末までの入居ということは、遅くとも2021年夏頃までには工事内容や金額等を決めて建築工事請負契約を結んでおく必要があります。すまい給付金も2021年12月末までの入居が条件となっています。これらの制度を活用したい場合には早めに家づくりを開始した方がよいでしょう。各制度の期限をまとめると図表5のようになります。

 住宅購入者が利用できるお得な制度はその利用期限には注意が必要です。資金計画を考える際はこれらの期限も念頭に置いておくようにしましょう。

 今回は住宅ローン金利の動向、住宅購入支援制度の最新動向をまとめました。2020年4月5日時点の情報を基にしていますが、新型コロナウイルスの感染拡大に対して様々な策が発表されており、今後も住宅ローン減税以外にも期限の延長や制度内容の変更があるかもしれません。住宅ローンや各制度の最新情報は駒沢公園ハウジングギャラリーにて確認してみるようにしましょう。

※2020年4月5日時点の情報に基づいています。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®

株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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