第35回

2021年に新しく定められた最大100万相当のグリーン住宅ポイント制度

2021年に新しく定められたグリーン住宅ポイント制度では、一定の省エネ性能を有する住宅を新築する場合などにポイントが発行されます。ポイントは商品との交換、追加工事代金への充当ができます。住宅の新築の場合、2021年10月31日までに工事請負契約をしたものがポイントの対象なので、スケジュールには注意が必要です。

ここがポイント
  • 住宅の新築では最大100万円相当のポイント
  • 住宅の新築でグリーン住宅ポイント制度を利用するにはスケジュールに注意
  • 賃貸住宅の新築、中古住宅購入、リフォームにもポイントあり

1.住宅の新築では最大100万円相当のポイント

 グリーン住宅ポイント制度は一定の省エネ性能を有する住宅の新築等に対しポイントが発行される制度です。ポイントは様々な商品との交換や追加工事代金に充当させることができます。

●住宅を新築する場合のグリーン住宅ポイント制度
住宅を新築する場合のグリーン住宅ポイント制度は図表1のようになっています。一定の省エネ性能を有する住宅を新築する場合は30万ポイント(30万円相当のポイント)、高い省エネ性能等を有する住宅の場合は40万ポイントの対象となり、それぞれ条件を満たすとポイントが加算されます。

図表1:住宅を新築する場合のグリーン住宅ポイント制度

※断熱等性能等級4を満たさない住宅であっても、建築物省エネ法に基づく住宅の外皮性能などの基準に適合するものは対象。

 大手ハウスメーカー等で住宅を新築する場合、標準仕様でも認定長期優良住宅の条件を満たしていることも多いです(40万ポイントの対象となる可能性が高い)。

●ポイント加算の条件
ポイント加算の条件は図表2にまとめた4つです。

図表2:ポイント加算の条件

この中で利用が多くなるのは「多子世帯が取得する住宅」、「三世代同居仕様である住宅」になるでしょう。後者は二世帯住宅を指しますが、表にも書いたように、住戸内で自由に行き来ができない、いわゆる完全分離型二世帯住宅の場合にはポイント加算の対象にはなりません。ただし、その場合、2戸それぞれがポイントの対象となります。たとえば認定長期優良住宅等にあてはまれば、40万ポイント×2戸分のポイントが発行されるということです。

●グリーン住宅ポイントの交換
発行されたポイントは図表3のような商品と交換するか、または追加工事代金に充当させることができます。

図表3:グリーン住宅ポイントを交換できる商品・工事

2.グリーン住宅ポイント制度ではスケジュールに注意

 

 ここではグリーン住宅ポイント制度の利用にあたり注意点を解説します。

●スケジュールに関する注意点
住宅の新築でグリーン住宅ポイント制度の利用を考えている場合、スケジュールに注意が必要です。住宅の新築では2021年10月31日までに工事請負契約をしたものがポイントの対象となります。
注文住宅の建築の際は、検討開始時から工事請負契約を結ぶまで3カ月~半年程度の時間がかかります。土地の購入から始める場合にはさらに時間がかかる可能性があります。グリーン住宅ポイント制度を利用したい場合、スケジュールを確認しておく必要があります。
なお、ポイント発行の申請期限も2021年10月31日までとなっています。ポイントを追加工事と交換する場合で、対象工事完了前にポイント発行申請を行う際は、2022年1月15日までに追加工事に関する完了報告が必要です。
※なお、予算に達した時点でポイントの発行申請の受付を締め切る可能性もあります。

●他の制度との併用についての注意点
グリーン住宅ポイント制度と他の制度の併用についても注意をしておきたいポイントの1つです。図表4のように、住宅ローン減税やすまい給付金との併用は可能ですが、ZEH関連の補助金とは併用ができません。ハウスメーカーと相談の上、最も得になる制度の利用を検討したいところです。

図表4:他の主な制度との併用可否(新築住宅の建築・購入に関連するもの)

3.賃貸住宅の新築、中古住宅購入、リフォームにもポイントあり

 グリーン住宅ポイント制度は、住宅を新築する場合だけでなく、賃貸住宅の新築、既存住宅(中古住宅)の購入、住宅のリフォームでも、一定の条件を満たせば対象となります。図表5に概略をまとめましたが、条件の詳細は省略しています。興味のある方はグリーン住宅ポイント制度のホームページで確認するか、ハウスメーカーに確認してみましょう。

図表5:賃貸住宅の新築、既存住宅購入、リフォームの場合

※1 すべての住戸が賃貸用に建築されていること(所有者の居宅が含まれる建築物や店舗併用の建築物は対象外)。
※2 以下④~⑦については、必須の①~③と併せて実施した場合のみ対象。ポイント数は内容によって異なります。
④バリアフリー改修 ⑤耐震改修 ⑥リフォーム瑕疵保険等への加入 ⑦既存住宅購入加算

 今回はグリーン住宅ポイント制度について解説しました。対象となる期間に条件はつきますが、利用できる人にとってはお得になる制度です。制度の詳細や最新情報については、駒沢公園ハウジングギャラリーにてハウスメーカーに確認してみましょう。

※ 2021年5月25日時点の情報に基づいています。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®

株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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