モダンリビング・コラム
下田結花の
「心地よさのつくり方」
第12回 ささやかなことで幸せになれる
4月、新しい始まりの季節ですね。この1年間、このコラムで月一回「心地よさのつくり方」についてお話ししてきましたが、今回が最終回となりました。
暮らしは日々続いていくものです。引っ越しをしたら、新しい家を建てたら、…と思っていると、あっという間に日々が流れていきます。私自身がリノベーションに踏み切ったのは、2011年の東日本大震災がきっかけでした。自宅に戻ってみると、本棚が倒れ、部屋中に散らばったものを見て、当たり前に続くと思っていた暮らしはそうではなかったのだと知りました。1日でも早く、自分の心地よい暮らしを手に入れたいーーそう思ってリノベーションをすることにしました。
新築もリノベーションも大きな作業です。人生のタイミングの中で、踏み切れるのは限られた時だと思います。
けれど、毎日の暮らしの中でできることは、他にもたくさんあります。ほんの少し家具を動かしてみること、季節の花を生けること、食卓の景色を変えること、クッションのカバーを取り替えてみること…。本当にささやかなことでいいのです。その小さな変化が、あなたの暮らしをリフレッシュさせ、豊かにしてくれることでしょう。家具を購入したり、リノベーションしたり、家を新築したりということは、そんな暮らしのリセットの延長線上にあることなのです。
今日という日を大切に。人はささやかなことで幸せになることができます。あなたとあなたの家族が笑顔の日々を送れますように。インテリアはそのための舞台なのですから。