第8回

エコ住宅への建替えに補助金が出る
新制度がスタート

耐震性のない住宅を取り壊し、新たにエコ住宅に建替える際に最大50万円の補助金が受け取れる制度が2016年10月にできました。住宅の建替えを検討している方はぜひ押さえておきたい制度です。

ここがポイント
  • 耐震性のない住宅を取り壊し、エコ住宅を建てると最大50万円の補助金が受け取れる。
  • 2017年6月末までに建築工事の契約をし、12月末までに工事を完了させる必要がある。
  • エコ住宅はその他にも税制等の優遇制度がある。

1.エコ住宅の建替え補助金

エコ住宅への建替えで補助金が受け取れる、という制度が2016年10月に新たにスタートしました。耐震性のない住宅を解体し、新たにエコ住宅に建替えると30万円~50万円の補助金が受け取れるというものです。建替える前の住宅が「耐震性のない住宅」であること、建替え後の住宅が「エコ住宅」になっていることが必要です(単にエコ住宅を建てるだけでは補助金の対象にはなりません)。なお「建替え」としていますが、解体する住宅と建替える住宅とは同じ敷地でなくても構いません。今の住宅の敷地以外に土地を購入する等して先にエコ住宅を建て、その後古い住宅を解体する場合でも対象になります。
なお「耐震性のない住宅」とは「旧耐震基準で建築された住宅」で具体的には以下のいずれかを指します。

建替え後のエコ住宅は、木造住宅の場合は「省エネ基準以上」、非木造住宅では「トップランナー基準以上」という条件を満たす必要があります。下表のように住宅の省エネ性能によって受け取れる補助金の額は30万円~50万円となります。

【木造住宅の場合】省エネ基準以上
【非木造住宅の場合】トップランナー基準以上

※BELSとは
車や家電を購入する際には「燃費」という指標は大きな基準となりますが、今まで住宅には「燃費」という考え方はありませんでした。そこで住宅にも燃費という考え方を広めようと定められたのがBELS(建築物省エネルギー性能表示制度:Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)です。住宅等の省エネ性能を検査機関が評価し5段階の星マークで表示するものです。

2.補助金を利用するための期限

今回の補助金には期限が決められています。エコ住宅の工事請負契約を2016年11月1日以降から2017年6月30日までに行い、住宅の建替え工事は2017年12月31日までに完了させる必要があります。

解体時期は2015年10月12日以降のものが対象で、解体工事の請負契約を2017年6月30日までに行い、解体工事は2017年12月31日までに完了させ滅失登記(解体をしたことの登記)を行う必要があります。

3.エコ住宅のメリット

エコ住宅を建てる場合、建築費は従来のものより高くなってしまうかもしれませんが、光熱費が削減できるためランニングコストは安くできるというメリットがあります。また一般的にエコ住宅は健康に良く、この点はお金に置き換えられないメリットになるでしょう。またエコ住宅は金利優遇や税制面でプラスになりこれらもメリットになると言えます。例えば認定低炭素住宅や認定長期優良住宅の基準を満たすことで、住宅ローン減税が有利になります(ハウスメーカー等で住宅を建てる場合の多くは標準仕様で長期優良住宅になっています)。その他フラット35Sの金利引下げや固定資産税等の優遇等、下表にまとめたようなメリットがあります。

※1一般住宅の場合でも条件を満たせばフラット35Sの金利引下げを受けられます。認定長期優良住宅、認定低炭素住宅は常にフラット35Sの金利引下げが受けられます。※2 贈与税に元々ある非課税枠110万円を含む。

今回解説した補助金は「耐震性のない住宅をエコ住宅に建て替える場合に使える」ものでしたが、その条件に当てはまらない場合でも上記のようにエコ住宅には税制面等でのメリットを多く受けられます。ハウスメーカー等で予算や効果について確認してみるとよいでしょう。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®
株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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