第14回

株価上昇で金利も上がる?
2018年の住宅ローン金利を予測!

2017年株価は大きく上昇しましたが一方で住宅ローン金利には大きな変化はありませんでした。2018年も現在の金融政策が継続されるのであれば金利が大きく動くことはないと考えられますが、政策の変更による金利上昇や金融機関の収益悪化から来る金利上昇には注意したいところです。

ここがポイント
  • 2017年の住宅ローン金利は大きな変化はなかった。
  • 本来、金利は株価と連動するが、現在は日銀の金融政策で連動性は薄れている。
  • 現在の政策に変更がなければ2018年の住宅ローン金利も大きな変化はないと予想。

1.2017年の住宅ローン金利推移

2017年の住宅ローン金利は大きな変化はなくほぼ横ばいに推移しました。全期間固定金利の代表的な商品フラット35と変動金利についてメガバンクの1つ三菱東京UFJ銀行のものを取り上げ過去5年間の推移を見ると以下のようになっています。

フラット35の金利はマイナス金利導入で大きく低下した後、少し上昇した後は大きな変化はありません。また、三菱東京UFJ銀行の変動金利の最優遇金利はこの2年ほど0.625%で変化がありません。2017年の住宅ローン金利を振り返るとほぼ横ばいに推移したと言えるでしょう。
※最優遇金利:最も条件のよい人に適用される金利のことです。

2.金利と株価の関係

金利は株価との関係で語られることも多いです。金融や経済の教科書では金利が上がると株価が下がり、金利が下がると株価が上がると解説されます。

しかし最近ではその関係性は薄れています。次のグラフは2000年1月以降の日経平均と10年国債の金利(毎月末の値)をグラフ化したものです。2012年頃までは上記の理論とは逆に金利と日経平均は同じ方向に動くという関係になっています(の時期)。2012年以降は上記の理論通りに、金利が下がり株価が上がる関係が見られますの時期)。そしてマイナス金利導入後は金利が横ばいの中、株価は大きく上昇しています(の時期)。

2017年は大きく株価が上昇しました。①の時期のような関係ならば金利が上昇してもおかしくありませんでした。しかし株価と金利の関係は今の日本では崩れています。そのため金利の行方を株価と関連付けて考えることは難しくなっています。

3.2018年の住宅ローン金利の動向予測

最後に2018年の住宅ローン金利の動向を予測してみましょう。現在の日銀の政策は金利に関しては「短期金利は-0.1%に誘導し、長期金利(10年国債の利回り)は0%程度に誘導する」というものです。現在の日銀の政策が引き続き続くのであれば、2018年の住宅ローン金利も大きな変化はないと考えられます。逆に現在の政策が変更になる場合は金利が上昇する可能性もありえます。
また現在の住宅ローンの低金利は金融機関の金利引下げ競争という面もあり、金利引下げ競争が終わると金利上昇する可能性も0ではありません。
2017年10月に三菱UFJ信託銀行が住宅ローン業務から撤退というニュースや、みずほ銀行が地方では住宅ローン業務から撤退するという報道がありました。住宅ローンの金利低下で住宅ローン業務が金融機関の収益に結びついていないことを表しているように思えます。過度な金利引下げ競争が終わる可能性も0ではありません。

まとめると、マイナス金利政策に大きな変更がなければ2018年の住宅ローン金利も大きな変化はないだろうと考えられます。しかし現在の政策はどこかで終わりが来るはずでその時には金利上昇の可能性があること、また、金融機関の収益悪化で、金利引き下げ競争に終止符が打たれる可能性もあり、その場合にも金利上昇の可能性は0ではないという点には注意しておきたいですね。ハウスメーカーで住宅を建てる場合、金利等がお得になる提携ローンが使える場合が多いです。住宅ローンに関しては展示場でハウスメーカーに相談してみるとよいでしょう。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®
株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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