第25回

消費税10%でもお得に家を建てる方法!2019年住宅購入支援制度の総まとめ

住宅購入時には住宅ローン減税など様々な制度を利用できます。消費税増税で住宅購入の負担は増えてしまいますが、その負担を和らげるため消費税10%で購入する場合に有利になる制度もあります。今回は住宅購入支援制度の概要をまとめます。

ここがポイント
  • 消費税10%での住宅購入時に、住宅ローン減税など拡充されるものがある
  • 次世代住宅ポイントなど、住宅購入時に使える制度はその他にも様々なものがある
  • 各制度には利用のための期間が定められており、スケジュールには注意

1.消費税10%でお得になる3つの住宅購入支援制度

消費税が10%に増税されると住宅購入時の負担も大きくなってしまいます。その緩和のため、住宅ローン減税をはじめ図表1にある3つの制度は、消費税8%より10%で住宅を購入する方が有利になります。

図表1:増税後拡充される3つの制度

住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高の1%相当額を10年間、所得税から控除できる制度です(引ききれない分は一部翌年の住民税からも控除可能)。消費税10%で住宅を購入する場合、控除期間は13年に延長になります(図表2)。ただし、控除期間の3年延長は一時的な措置で、2020年12月末までの入居が対象です。

図表2:住宅ローン減税

※所得税から引ききれない分は翌年の住民税から課税所得金額×7%(最大136,500円)まで控除できます。
※「建物価格×2%÷3年」の計算での「建物価格」は消費税抜きの価格を使い、限度額は認定長期優良住宅等の場合5,000万円、一般の住宅の場合4,000万円までとなります。

すまい給付金は住宅購入者に対して給付されるものですが収入に上限があります。図表3のように消費税10%になると拡充されます。すまい給付金は2021年12月末までに引き渡しを受け、入居した人が対象となっています(なお50歳未満の人は住宅ローンを利用していなければ対象外になります)。

図表3:すまい給付金
※実際には、給付基礎額は「都道府県民税の所得割額」の値で決まります。「収入の目安」は夫婦及び中学生以下の子どもが2人(妻は収入なし)のモデル世帯における、夫の収入額の目安です。 ※50歳以上の人が住宅ローンを利用せずに住宅を購入した場合、すまい給付金の対象となりますが、消費税10%では収入の目安の上限が「650万円以下」までとなります。

住宅取得等資金贈与の贈与税非課税措置は、親や祖父母などから住宅購入資金を贈与してもらう場合、一定金額まで贈与税がかからないという制度ですが、消費税10%では最大非課税金額が大きくなります(図表4)。

図表4:住宅取得等資金贈与の贈与税非課税措置
※「消費税10%以外」というのは消費税8%で住宅を購入する場合や、中古住宅の個人間売買など消費税がかからない住宅購入の場合です。
※贈与税には元々110万円の非課税枠があるため、上記数値に110万円を足した金額まで、贈与税は非課税になります。

2.次世代住宅ポイントなどその他の制度も覚えておきたい

住宅購入者が使える制度は、その他にも様々なものがあります。次世代住宅ポイントは2019年に新設された制度で、一定の条件を満たす住宅を購入すると最大35万円相当のポイントがもらえるというものです(図表5)。ポイントは家電・家具など様々な商品と交換できます。2020年3月末までの請負契約・着工が条件となります(消費税8%での住宅購入の場合、2018年12月21日~2019年3月31日に請負契約をし、着工が2019年10月1日~2020年3月31日になる場合のみ対象となります)。

図表5:次世代住宅ポイント
※ビルトイン食洗器や浴室乾燥機など「家事負担軽減に資する設備」を設置した場合には規定のポイントが加算され、また耐震性のない住宅の建替には15万ポイントが加算されますが、上記と合わせて合計で35万ポイントが上限です。

図表2~5で見てきた制度の他にも、住宅購入者にお得な制度があります(図表6)。フラット35Sの金利引下げは、フラット35を利用して一定の条件を満たした住宅を購入する場合に5年または10年、0.25%の金利引下げを受けられるという制度です。
投資型減税は所得税の控除制度です。住宅ローンを使わずに自己資金で住宅購入をする場合住宅ローン減税を利用することはできませんが、この制度では控除を受けることができます。

図表6:住宅を新築する時に使えるその他の制度

3.お得になるのは期間限定、早めのスタートを

今回解説した各制度には期限が定められています。特に消費税増税後に拡充される3つの制度や次世代住宅ポイントは期間限定のためスケジュールには注意が必要です(図表7)。

図表7:各制度の利用条件

注文住宅を建てる場合は、住宅展示場での情報収集などを開始してから請負契約や着工、入居までは時間がかかります。これらの制度を十分に活用したい場合には、家づくりを早めにスタートさせた方がよいと言えるでしょう。

今回は、消費税増税後の住宅購入をお得に進める制度についてまとめました。概要のみを解説しましたが、各制度には利用のための要件が定められています。各制度の詳細や最新情報については駒沢公園ハウジングギャラリーにてハウスメーカーに確認してみましょう。

※2019年9月15日時点の情報に基づいています。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®

株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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