第39回

省エネ性能の高い住宅の新築で最大100万円
こどもみらい住宅支援事業

2022年にスタートする、こどもみらい住宅支援事業。子育て世帯または若者夫婦世帯が、省エネ性能の高い住宅を新築する場合等に補助金を利用できます。これらの世帯が住宅を購入する時の負担軽減を図ることと、省エネ性能の高い住宅を世の中に増やしていくことを目的としています。
今回は住宅を新築する場合の「こどもみらい住宅支援事業」について解説します。

ここがポイント
  • 省エネ性能の高い住宅を新築する場合、最大100万円の補助金
  • こどもみらい住宅支援事業の対象者と注意点
  • こどもみらい住宅支援事業ではスケジュールにも注意

1.省エネ性能の高い住宅を新築する場合、最大100万円の補助金

 こどもみらい住宅支援事業はリフォームを行う場合にも利用できますが、ここでは住宅を新築する場合に絞って対象となる住宅等の要件をまとめます。
 新築の場合は「省エネ性能の高い住宅」を「子育て世帯または若者夫婦世帯」が建築・購入する場合に補助金が交付されます。「省エネ性能の高い新築住宅」とは、具体的には図表1のいずれかに当てはまる住宅を指します。補助金の額もその種類ごとに決められています。

図表1:こどもみらい住宅支援事業の対象住宅と補助金額(住宅を新築する場合)

②の条件にある「認定長期優良住宅」の基準は、大手ハウスメーカーを中心に、標準仕様であっても満たす場合が多くなっています。そうでなくても③の基準は満たす場合は多いと考えられます。気になる方はハウスメーカーに確認してみるとよいでしょう。

また最近では①のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を建てる人も増えています。ZEHとは図表2のようなイメージの住宅です。「断熱等の省エネ」+「太陽光発電等の創エネ」で、その住宅で使うエネルギー量を実質的にゼロ以下にすることを目指すものです。

図表2:ZEHのイメージ

出典:資源エネルギー庁のWEBサイト

なお図表1の①~③以外にもいくつか建物に関する要件が定められています。たとえば建築主自らが居住するための住宅であることが必要です(他人に貸して家賃収入を得るための住宅等は対象外ということです)。また土砂災害特別警戒区域外に立地することや床面積が50㎡以上であること等も必要です(賃貸併用住宅等の場合、住宅部分の床面積が50㎡以上あれば対象になります)。

2.こどもみらい住宅支援事業の対象者と注意点

 こどもみらい住宅支援事業を利用できるのは、新築住宅を建築、購入する場合は「子育て世帯」または「若者夫婦世帯」のみになります(図表3)。該当する人はお得に家づくりが進められますので、本制度の利用を検討してみるとよいでしょう。

図表3:こどもみらい住宅支援事業の対象者

※子は同居している必要があります(単身赴任等特別な場合を除く)。

※なお、こどもみらい住宅支援事業では、住宅をリフォームする場合にも補助金が用意されています。今回のコラムでは解説を省きますが、リフォームの場合の対象者は子育て世帯や若者夫婦世帯に限定されていません。

住宅を新築する場合のこどもみらい住宅支援事業を利用する上で注意すべき点をまとめると、図表4のようになります。

図表4:こどもみらい住宅支援事業を利用する上での主な注意点

注意点①については、住宅展示場に出展しているハウスメーカーのほとんどは事業者登録をしているはずです。注意点③にまとめたように、こどもみらい住宅支援事業の補助金とZEH支援事業の補助金等とは併用ができません。ZEHを検討している人はどちらの補助金を利用すべきか、スケジュール等もまじえて、ハウスメーカーと相談して決めるとよいでしょう。なお、住宅ローン減税やすまい給付金等とは併用可能です。

3.こどもみらい住宅支援事業ではスケジュールにも注意

 最後にこどもみらい住宅支援事業の対象となる期間をまとめます。交付申請できる期間は、2022年10月31日までとなり、それまでに基礎工事が完了している必要があります(図表5)。なお、予算が上限に達すると早めに締め切られる場合もあります。

図表5:対象となる期間(注文住宅を新築する場合)

注文住宅を建てる際は、間取り等の仕様や工事金額を決め、工事の請負契約を交わし、その後に工事の開始(着工)となります。家づくりの検討段階から契約、着工までは数か月かかるため、交付申請が2022年の10月末まで、という条件を考えると、注文住宅を建てたいと考えている人で、こどもみらい住宅支援事業の利用を考えているならば早めに行動を開始した方がよいでしょう。

 今回はこどもみらい住宅支援事業について、新築住宅を建てる場合について、その概要を解説しました。制度の詳しい内容や、活用方法等についてはハウスメーカーに確認してみましょう。こどもみらい住宅支援事業以外の優遇制度が利用できる場合もあります。駒沢公園ハウジングギャラリーでは、いろいろなハウスメーカーに話を聞くことができるので、住宅の新築を検討中の方は情報収集してみてはいかがでしょうか。

※ 2022年3月25日時点の情報に基づいています。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®

株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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