第9回
東急田園都市線
「三軒茶屋・駒沢公園・二子玉川」で暮らす・貸す住まい
首都圏でも人気の路線として上位にランキングされる「田園都市線」。特に「三軒茶屋・駒沢公園・二子玉川」は、最新トレンドの発信地である渋谷からも近く、魅力ある街としてブランドイメージが高いといわれています。今回はこのエリアの地域の魅力や歴史、不動産動向を紹介します。
- 田園都市は、英国の都市経済と農村生活が融合した都市計画「Garden city」が語源。
- 三軒茶屋は24時間営業の店舗も多く生活利便性の高い街。駒沢大学駅は緑と運動の街。
- 沿線の基準地価格は、首都圏全体の動向に比べて上昇傾向。
- 二子玉川は、商業施設が充実している自然と調和した街で、賃貸需要は2LDKが強い。
1.沿線の街づくりは緑豊かな都市を目指し、英国の都市計画が参考にされた
「田園都市線」の前身は、世田谷区で最初に開通した「玉川電車」です。1907年(明治40年)に開通し、多摩川の砂利運搬や玉川遊園地への行楽客輸送に活躍しました。後に、沿線の宅地開発とともに旅客輸送へと移り変わりますが、自動車の増加に伴い地下化され、現在の路線へと進化してきました。「田園」と聞くとのどかな印象ですが、「田園都市」は英国の都市計画家が1898年に提唱した「Garden city」の和訳です。都市の経済と農村の生活環境を融合させ、自律した職住近接型の緑豊かな都市を郊外に建設するという考えです。東京では、渋沢栄一がこれを学び具現化してきました。この考えは東急電鉄の街づくりにも応用され、「田園都市線」沿線の魅力ある宅地開発が行われてきました。
2.利便性の高い三軒茶屋と、緑と運動の街、駒沢大学駅周辺の地価動向
三軒茶屋は、飲食店や24時間営業の店舗も多く生活利便性の高い街です。江戸時代から丹沢の阿夫利神社へ参拝者の往来が多く、信楽、角屋、田中屋の三軒茶屋が地名の由来です。1996年に完成したキャロットタワーは、商業や事務所だけでなく、行政や文化施設も併設され、芸術や文化を創造する街としても発展しています。駒沢大学駅は、緑とスポーツ施設の整った街です。駅の出口付近は国道246号沿いの賑わいがありますが、通りを入れば落ち着いた住宅街です。駒沢公園総合運動場は、1964年の東京五輪の会場として整備され、現在は陸上競技場など12もの体育施設があります。周辺の地価は、ここ数年の基準地価格のデータでも上昇傾向です。首都圏全体の動向に比べると高い上昇率です。特に、池尻など渋谷に近いエリアの上昇が目立っています。
3.二子玉川は、商業施設と自然が若いファミリー世帯に人気
二子玉川は、商業施設が充実している自然と調和した街です。1969年に日本初の郊外型デパート「玉川髙島屋S・C」や、2015年には、高層住宅と複合型商業施設が豊かな緑地に調和した「二子玉川ライズ」が完成し、田園都市線の各駅のなかで住みたい街トップ3になりました。駅別の賃料動向をみると、「駒沢大学駅」では3LDKが強いことから、子育てファミリー世代に人気が高いことがわかります。また、「三軒茶屋駅」や「二子玉川駅」で2LDKが強いのは、若いファミリー世代に人気があることを示しています。これから、土地の有効活用として賃貸住宅経営を考えている方は、街の歴史や不動産動向を参考にしながら、市場に適した活用方法を、住宅展示場の営業担当者と相談しながら進めると良いでしょう。
※4)エキサイト不動産の「東急田園都市線」各駅の賃貸家賃相場(2016年1月集計値)からグラフを作成
筆者:安食 正秀 (相続アドバイザー協議会R認定会員 上級アドバイザー)
1963年東京生まれ、立教大学経済学部卒。
2006年7月、株式会社アセット・アドバイザーを設立。財産を次世代に承継することを最優先に、顧客の不動産の全体像を把握し、様々な視点から不動産の相続対策の立案、問題解決および実務支援を行う。夕刊フジで「激変!相続税に備える」を連載。
2016年1月千葉テレビに出演。首都圏を中心にセミナーや執筆など人気講師として活躍中。
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