第3回

資産価値が高い場所を見分ける秘訣

3月に発表された平成28年の公示価格をみると、東京23区の土地は前年比+2.8%と、上昇を続けています。しかし東京23区だからすべてよいという訳ではなく、資産価値が高く維持される場所には相応の理由があります。今回はその資産価値にフォーカスします。

ここがポイント
  • 資産価値は「立地」が重要
  • 鉄道の延伸計画や駅の再開発、街のブランドなどが資産価値を高くする
  • 暮らしやすさなどの生活価値と資産価値のバランスが大切
  • 不動産の価値は3つ

1.何が資産価値を高めるのか

不動産の資産価値の優劣は「立地」で決まります。治安や災害に対する安全性、利便性・快適性などの居住環境や、都心からの距離と駅からの距離が大きく影響を及ぼします。戸建ての場合は、学区などの教育環境や自然環境のほか、広さや住宅性能も重視されますが、やはり立地が重要なことに変わりはありません。東京はオリンピック後も都市の再開発や鉄道の延伸計画が続き、高い資産価値が維持される地域は多くなっています。なかでも1つの駅ではなく、複数の駅を利用できたり、商業施設が併設された駅は利便性が高く資産価値がさらに高くなります。また、地域のブランドも無視できません。利便性が突出して高い訳ではありませんが、高級住宅街に住むステイタスなど、ブランドの価値が資産価値を高くしています。世田谷区で言えば成城がそれに当たるでしょう。

図1 資産価値が決まるポイント

  • 利便性

    • 都心やターミナル駅へのアクセス
    • 駅からの距離
    • 複数路線が利用できる
  • 安全性

    • 災害リスクの少ない立地
    • 災害に対するインフラ整備
    • 治安のよさ
  • 快適性

    • 商業施設、公共施設、病院などの充実
    • 文化、娯楽施設の充実
    • 自然が多く緑豊か

2.資産価値が落ちにくい場所とは

高い資産価値を持つ土地の条件としては、人気の沿線や駅にあり都心へのアクセスが良好であることはもちろん、様々な要素が挙げられます。代表的なものとしては、次の3つがあります。1つ目は再開発です。二子玉川では駅前の再開発で商業施設が充実したことにより、新たな人の流れを生み出しました。2つ目は文教地区です。駒沢大学など学区が充実したエリアは教育環境だけでなく治安も良く、子育て世帯に好まれます。3つ目はランドマークです。三軒茶屋はキャロットタワーというランドマークビルがあり、人が集まる人気のスポットとなっています。このほか、市役所や図書館などの公共施設や病院などが充実し、緑が多く自然豊かな街なども、街自体の魅力が高くなります。このように、街自体が魅力的な場所は資産価値が落ちにくくなっていますが、そのなかで職場への通勤や暮らしの便利さなどの生活価値と、建物自体の資産価値とのバランスを取ることがポイントです。

図2 資産価値を維持するポイント

  • 再開発

    • 商業施設の充実
    • 生活インフラの向上
    • 新たな人の流れ
  • 文教地区

    • 学区が充実
    • 学校が多い学園都市
    • 治安のよさ
  • ランドマーク

    • 集客力のある施設、場所

3.不動産3つの資産価値とは

10年、20年後も価格が大きく下がらない家を選ぶには、将来設計を考えたうえで、少しだけ高くても資産価値が維持できる物件を探す必要があります。不動産の資産価値は、3つの価値で決まります。それは、「住む価値」、「貸す価値」、「売る価値」です。「住む価値」とは、住みやすさ、生活のしやすさが高いことです。耐久性や耐震性、省エネ性などに優れ、維持管理や間取り変更のしやすさなども高い「長期優良住宅」であれば寿命も長く、高い資産価値を維持できるでしょう。また日本の住宅政策は量から質へ転換しており、長期優良住宅には一般住宅より大きい住宅ローン控除があるなど様々な優遇制度があります。「貸す価値」とは、周辺の家賃相場などから自分の家を貸すとしたらどの程度の家賃で貸せるかという「収益性」をみることです。「売る価値」とは、売れる価格「換金性」のことで、いずれも周辺の相場をみることが重要です。駒沢公園ハウジングギャラリーには、こういった資産価値を高めてくれる家づくりを提供しているハウスメーカーが多く出展しています。情報収集にでかけてみてはいかがでしょうか。

図3 今までの住宅と長期優良住宅

筆者:平澤 朋樹(ファイナンシャルプランナーCFP®
平澤FP事務所 代表
金融機関に所属しない独立系のファイナンシャルプランナー事務所を運営。子育て世帯向けの住宅資金計画や住宅ローン選びのほか、生活設計や資産形成を中心とした相談、セミナー、執筆等を行っている。金融・経済の知識や豊富な投資経験に基づく資産運用の相談も好評。
資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、住宅ローンアドバイザー

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