素敵な暮らしを叶える人の『とっておきのルール』①
理想の暮らしを実現する収納の極意

「もっと収納を楽しんでほしい」と整理収納・インテリア・美を総合した『美人収納』を提唱している整理収納アドバイザーの西口理恵子さん。その活動は、テレビや雑誌のほか、企業や個人邸の収納提案から講演やセミナーなど多岐に渡り、多くの方が西口さんの整理収納術をお手本にしています。そこで、今回は整理収納のスペシャリストである西口さんに、理想の暮らしを叶えるためのマイルールについてうかがいました。

写真1:働き方の多様化で自宅のワークスペース・書斎づくりにも新たな工夫が必要な時代です。
INDEX

【1】 初めての家づくりで学んだ整理収納の基本

西口さんご家族が暮らす家は、六甲山の中腹にある自然豊かな住宅地にあります。ご主人が経営する会社が芦屋市内であったことに加えて、以前から自然に恵まれた環境で子育てしたいと思っていた西口さんは、2014年に西宮市から転居しました。

新居となった家は築18年の中古住宅。以前は住宅として使われていたそうですが、数年間は空き家状態だったため、あちこちに傷みもあったそう。そこで、西口さんは自分らしく暮らしていくために2度目の住まいづくりを始めました。

そう、西口さんの住まいづくりは、今回で2回目。その前に住んでいた西宮市の家は、西口さんが26歳のとき注文住宅で建てたものです。しかし、そのころはまだ収納の奥深さに気づいておらず、とりあえず、収納のスペースだけは確保したという状態だったとか。ところが、実際に住み始めてみると動線上に必要な収納がなく、結果的にとても住みづらい家になってしまったといいます。

「使う場所に使う量だけ、適材適所・適量がきちんと考えられていませんでした。その使いづらさを克服しようと工夫を始めたら楽しくなって……。当時は新築マンションの営業をしていたので、これならお客様のお役に立つと確信し、整理収納アドバイザーの資格も取りました」

【2】物の適正量を把握して余分な収納を作らない

以前は3畳の納戸が3つもあったそうですが、西口邸の物の適正量を考えるとそのスペースは不要と判断。そこで1つをトイレ(写真左)に、もう1つをご自身の仕事部屋(写真右)に、最後の1つはゲストルームにしました。つまり物の場所が人の場所に変わったということであり、同時にそれは西口さんが理想とする暮らしに一歩近づいたという証です。

西口さんは整理収納を学ぶ中であることに気づきました。それは物の適正量を把握することが整理収納には欠かせないということです。一般的に収納スペースがあればあるほど、物は増えていきがち。でも、自分の物の適正量を知っておけば余分な収納を作る必要はなく、その分をほかの用途に活用することが可能となります。たとえば、書斎を作ったり、ヨガスペースを作ったり。西口さんの場合は、3つあった3畳の納戸をトイレや仕事部屋、ゲストルームにし、物の場所から人の場所へと見事に転換させました。

「収納を作りすぎてしまうと物の場所が増えるだけで、人間の居場所はどんどん減ってしまいます。でも、物の適正量が分かっていれば余分な収納を作ることはありません。私の場合、洋服は132枚、バスタオル8枚、フェイスタオル20枚、カバン14個、靴は22足と決めていますが、この量を知って家を作るのと知らないで家を作るのとでは、全く意味が違ってきます。ミニマリストのように少なくする必要はありません。適正量をいったん決め、守ってみることが大切なのです」

左)家の顔ともいえる玄関。西口さんは庭に咲いた花を活けたり、お気に入りのアロマを置いたりとさりげない演出を心がけています。
右)下駄箱は収納量に気を取られて便利グッズを活用しがちですが、それで使いづらくなってしまったら本末転倒です。西口さんは洋服に合わせて靴選びを楽しみたいと、ご自身の適正量である22足をシーズンに合わせ、出し入れしやすいように箱やグッズを使わず、すっきり並べて収納しています。

【3】生活動線を可視化することで必要な収納がわかる

子どもがまだ幼いうちは1日に何度も着替えることが多いため、西口邸ではリビングに子どもたちの着替えを収納するキャビネットを置いています。これならわざわざ子ども部屋まで着替えを取りに行く手間がありません。西口さんは「普段着の適正量はここに入る分だけ」と量も決めています。

そして、西口さんがもう1つ実践したのは生活動線の可視化でした。西口さんはもちろん、ご主人や子どもたちの朝起きてから夜寝るまでの動きをシミュレーションし、その動線を間取り図に書き込んでいったそうです。

「この動線を可視化することで、どこに収納を置いたらいいかが一目瞭然です。あとは必要なところに収納を補充するだけ。我が家は、廊下に出られるリビングのドア付近が動線も多く、もっともコアな場所だったので、そこに子どもたちの着替えや爪切り、ペンなどの細々とした物を入れるキャビネットを置きました。大きくなれば子どもたちもそれぞれの部屋で着替えると思うのですが、まだ小さいうちはリビングで着替えさせたほうが断然ラク。キャビネットは子ども部屋のクローゼットに納まるサイズのものを選んでいるので、子どもたちが成長したらそれに合わせて移動させる予定です。このように動線は家族の成長や環境の変化でも変わってくるものです。だから、収納もその変化に合わせて臨機応変に考えていく。大事なのは住まいに人を合わせるのではなくて、人に合わせて住まい(収納)を変えていくことです」

【4】理想の暮らしの実現こそ、整理収納のゴール

西口さんは、自分が必要とする物の適正量をきちんと知り、それに見合う収納を作ることは住みやすさとイコールであり、それによって楽しみ方は何倍も広がってくると話します。

“ただ単に物を片付けてスッキリすること”を目的とするのではなく、“その先で何をしたいかをきちんとイメージすること”が大事だとも。

西口さんにとってのその先は「家族と過ごす時間を少しでも長くしたい」ということであり、整理収納はそれを実現するための1つの手段に過ぎません。「スッキリしたその先にある暮らしを紙に書き出し、 家族で話し合ってほしいです。皆さんが思い描く理想の暮らしが、住まいづくりで叶いますように」と西口さんは伝えてくれました。

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●取材協力:西口 理恵子さん
(整理収納アドバイザー1級 / インテリアコーディネーター / 宅地建物取引士 /ファイリング・デザイナー検定1級 / 企業内整理収納マネージャー認定講師)

前職は新築マンション営業・企画。新築マンションの少なく使いにくい収納に疑問を持ち、「女性の視点に立った収納しやすい住まいを」と、リビングイン収納、フル可動式クローゼット等多数企画し、多数の物件で採用される。2009年「インテリアR」を立ちあげる。セミナー・講演の受講者はのべ20,000名超(2020年12月末時点)。整理収納・インテリア・美を総合した【美人収納®】を全国にて直接指導している。Blog・Instagram・Twitter等のSNS総フォロワー数1.5万人超。著書に「ずっと美しく暮らす シンプル収納の家づくり」、「捨てなくてもすっきり暮らせる50の智恵」、「毎日がうまく回り出す1日1収納の法則」、「仕分け収納術」、監修本に「収納のルール&アイディア集」。

●監修・執筆:石倉 夏枝(編集・ライター)

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