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家づくりの基礎知識
第19回
地下室のある家は実現可能?
メリット・デメリットや必要な対策とは
限られた土地で住宅の延床面積を確保するには、建物の高さを上げて3階建てや4階建てにするほかに、地下室をつくるという選択肢もあります。おしゃれな施工例も多く、地下室付きのマイホームが気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、地下室の種類や活用方法、地下室のメリットとデメリットについて解説します。地下室のあるマイホームづくりで失敗しないコツもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
【1】地下室の種類
一般住宅に設置できる地下室は、主に「全地下タイプ」「半地下タイプ」「ドライエリアタイプ」の3種類に分類されます。まずは、それぞれの違いを確認しておきましょう。
[1-1]全地下タイプ
全地下タイプとは、部屋全体が地中にすっぽりと埋め込まれている地下室のことです。防音性や断熱性が高く、シアタールームや演奏スタジオ、ワインセラーなどに向いています。一方で窓は設置できないため、閉塞感が気になる場合もあります。
[1-2]半地下タイプ
半地下タイプとは、地下室の3分の1以上が地中にある地下室のことです。部屋の上部が地上にあるため天井付近に窓を設置でき、地下室でありながら自然の光や風を取り入れることもできます。ただし、全地下タイプと比較すると、防音性や断熱性は劣ります。
[1-3]ドライエリアタイプ
ドライエリアタイプとは、周囲にドライエリア(空堀)を設ける地下室のことです。掃き出し窓などの大きめの窓を設置でき、地下室でありながら開放感のある部屋づくりができます。リビングや寝室といった居室として利用できるものの、防音性や断熱性は低めです。
【2】地下室のある家のメリット
マイホームに地下室をつくるには、実際に暮らすときにどういったメリットを享受できるのかを知っておくことが大切です。ここでは、地下室がある家のメリットについて解説します。
[2-1]床面積を増やせる
土地には、延床面積の上限(容積率)が設けられています。広い居住スペースを確保したくても、容積率を超える建物は建築できません。
しかし、地下室であれば一定の条件を満たすことで、延床面積にカウントされない形で設置することが可能です。都市部に多い狭小地でも、地下室なしの場合と比べてより広いスペースを確保できる点が大きなメリットです。
[2-2]断熱性・防音性に優れた部屋をつくれる
断熱性が高い地下室は外気温の影響を受けにくく、朝晩の室温の変化がほとんどありません。そのため通常の部屋とはひと味違う、快適な空間をつくることができます。
また、四方を地面に囲まれていることから音が伝わりにくく、防音性が高い点も大きなメリットです。シアタールームや楽器の練習室など、大きめの音が出る用途にも利用できます。
[2-3]災害に強い家になりやすい
地下室は土を掘ったうえで基礎を固めてつくるため、地震が発生した際に地上の部屋と比べて揺れにくくなります。揺れが少なければ、家財道具へのダメージを抑えることができ、住人の安全も確保できます。もちろん台風の強風にも強く、特に全地下タイプであれば、飛来物で窓が割れるといった心配も無用です。
地震や台風などの影響を受けにくいため、災害時には一時避難をするシェルターとしても活用できます。
【3】地下室の活用法
地下室を設置する際は、どのように活用するかをイメージしておきましょう。以下では、注文住宅の地下室がどういった用途に活用できるかを紹介します。
[3-1]趣味スペース
防音性や断熱性が高い地下室は、以下のようにさまざまな趣味の部屋として利用できます。
●シアタールーム
●トレーニングルーム
●カラオケルーム
●演奏スタジオ
●読書部屋
●ワインセラー
特に全地下タイプの地下室であれば、子どもがピアノの練習をしたり、家族でカラオケを楽しんだりしても、近所迷惑になることはほぼありません。
ただし、地下室をリビングや寝室といった居室にするには、ドライエリアをつくったうえで開口部を設けるなどの対策が必要です。
[3-2]ワークスペース
テレワークが一般的になっている昨今では、注文住宅を建てる際にワークスペースを設けるケースが少なくありません。外部からの騒音が届きにくい地下室をワークスペースにすれば、仕事に集中しやすくなります。
加えて地下室は温度変化が起こりにくいため、ワークスペースを地上の部屋に設置するのと比較して、電気代の節約にもつながります。
[3-3]収納スペース
地下室は収納スペースとしても活用可能です。雛人形やスーツケースなどの普段使わない大きなものや、季節モノの衣類や寝具、捨てられない趣味のグッズなどを入れておけば、地上部分の生活スペースにゆとりが生まれます。
【4】地下室のある家のデメリット
地下室は魅力的な間取りですが、メリットだけを享受できるとは限りません。地下室付きの注文住宅を建ててから後悔しないために、デメリットについてもしっかりと確認しておきましょう。
[4-1]建築コストがかかる
地下室をつくる場合、少なく見積もっても1坪あたり50万~100万円程度の費用がかかります。建築コストだけでなく、地盤が軟弱な場合は地盤改良のための工事費用も発生します。このほか、換気システムをはじめとする設備の導入コスト、快適に使い続けるためのメンテナンスコストなども考慮しなければなりません。
場合によっては、地下室が必要ないような広めの土地を購入したほうが安上がりだったというケースも出てくるでしょう。土地代だけに目を向けるのではなく、全体のコストを考えて判断することが大切です。
[4-2]浸水しやすい
地面より低い場所にある地下室は水が溜まりやすく、大雨や洪水で浸水するリスクがあります。室内まで浸水すれば、内装工事や設備交換が必要になるうえ、壊れたり傷んだりした家具や家電も買い換えなくてはなりません。場合によっては、大切な思い出の品を失ってしまう可能性もあるでしょう。地下室を設ける場合は、入念な浸水対策が必要です。
[4-3]湿気がこもりやすい
風通しがよくない地下室は湿気がこもりやすく、結露が出やすくなる点も注意が必要です。対策を怠れば、本や楽器など湿度に弱いものがダメージを受けてしまうでしょう。さらにカビが繁殖すれば、家族の健康を害する可能性があります。地下室を設置する場合は、湿気対策の設備が欠かせないと考えておきましょう。
【5】失敗しない地下室のつくり方
注文住宅の地下室には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは、地下室をつくって後悔しないために押さえておきたいポイントを解説します。
[5-1]地盤調査を行う
自宅に地下室をつくりたいときは地盤調査を行い、地盤に問題がないかどうかを確認しなくてはなりません。土地が新しい埋め立て地だったり、近くに水脈があったりする場合は、地下室をつくれない可能性があります。地盤が軟弱な場合は、地盤改良工事によって建築可能になるケースもありますが、その分コストがかかる点に注意が必要です。
[5-2]湿度調整・日当たりを確保する
避けて通れない湿度の調整には、除湿や換気ができる空調設備の設置が効果的です。ドライエリアを設ければ湿度調整がしやすくなるだけでなく、採光も確保できるうえに湿度と日当たりの問題を一気に解決できます。
暗くてジメジメした地下室からは、自然と足が遠のいてしまいがちです。利用したくなる空間づくりを意識しましょう。
[5-3]避難経路を確保する
地下室の滞在中に、火事や地震が発生する可能性はゼロではありません。万が一に備え、避難経路を確保しておきましょう。
地下室と1階(地上)をつなぐ通路が室内階段のみだと、扉が開かなくなったり塞がれてしまったりしたときに逃げられなくなるため、大変危険です。ドライエリアや勝手口を設けるなど、複数の避難経路を確保することをおすすめします。
【6】快適な住まいの実現には地下室も選択肢の一つ
限られた面積の土地に注文住宅を建てる際は、地下室を設けることでより多くのスペースを確保できます。地下室は防音性や断熱性が高い一方で、風通しや採光には難があるため、湿度の管理など、室内環境を整える工夫が必要です。つくってから後悔しないためにも、まずは地下室の施工に詳しいプロに相談しましょう。
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