第28回

ZEH住宅で日々の暮らしから省エネに
ZEHに関する補助金2020年度版

ZEHとは断熱と省エネで使用するエネルギー量を減らし、太陽光発電システムでエネルギーを作ることで、消費エネルギー量を実質ゼロ以下にする住宅のことです。ZEHを建てる場合には補助金が利用できます。東京都では都独自にゼロエミ住宅の基準を作り補助金を用意しています。今回は2020年のZEH関連の補助金について概要をまとめます。

ここがポイント
  • ZEHを建てる場合、60万円の補助金が利用できる
  • 東京ゼロエミ住宅の基準を満たすことで東京都独自の補助金を利用できる場合もある
  • 省エネ住宅にはその他にも優遇制度が用意されている

1.ZEHの補助金は60万円

 ZEH(ゼッチ)は、Net Zero Energy Houseの略で、住宅での消費エネルギー量を実質的にゼロ以下にすることを目指した住宅です。第18回のコラム(*)でも解説しましたが、図表1のような住宅がZEHのイメージです。断熱性、省エネ性を高めて使うエネルギー量を減らすとともに、太陽光発電システムによりエネルギーを作ります。
*第18回コラムはこちらから

図表1:ZEHのイメージ
参照元)経済産業省 資源エネルギー庁のWEBサイトより
 ZEHを普及させるべく、一定の基準を満たすZEHを建てる場合補助金が用意されています。2020年度のZEH支援事業補助金は図表2のように60万円となります。今のところ一次~四次までの公募期間があり四次公募期間は2021年1月8日までの予定です。
図表2:ZEH支援事業(環境省)
※なお狭小住宅の場合、太陽光発電システムを設置しても十分な発電量が期待できない場合もあることから、太陽光発電システムの基準を満たさない住宅でも補助金の対象となる場合があります(ZEH Oriented)。

 図表3のようにZEHをさらに高度化したものを「ZEH+(ゼッチプラス)」とし、補助金額は105万円となっています(図表4)。今のところ一次と二次の公募が予定されており二次公募期間は2020年10月30日までの予定です。

図表3:ZEH+のイメージ
参照元)一般社団法人環境共創イニシアチブのWEBサイトより
図表4:ZEH+実証事業(経済産業省)
 ZEH+の要件を満たし、さらに、停電時のレジリエンス(復元力)を強化した住宅がZEH+Rです(図表5)。図表6のような補助金が定められていますが今のところ一次公募のみで既に予算に達したため2020年5月7日に締め切られています。
図表5:ZEH+Rのイメージ
参照元)一般社団法人環境共創イニシアチブのWEBサイトより
図表6:ZEH+R 強化事業(経済産業省)

 ZEHに関連する補助金として、先進的再エネ熱等導入支援事業の補助金があります。ZEHかZEH+の補助金を利用する場合で、図表7の建材・設備を導入する際に併用できます。

図表7:先進的再エネ熱等導入支援事業

2.東京都独自の補助金も

 ZEHに関連する補助金としては、家庭用燃料電池システム導入支援事業の補助金があります。家庭用燃料電池システム「エネファーム」を導入する場合、最大4万円の補助金が利用できます(図表8)。募集期間は2021年2月19日までの予定です。本補助金とZEH補助金が併用できるのか、については事務局に確認したところ、昨年度は併用できていたので2020年度もおそらく併用は可能ではないか、ということでした。

図表8:家庭用燃料電池システム導入支援事業
※LPガス対応の場合等には追加の補助もあります

 東京都には独自の補助金、東京ゼロエミ住宅導入促事業補助金、があります。東京都が独自に定めた基準を満たす住宅(東京ゼロエミ住宅:図表9)を建てる場合、補助金が利用できます(図表10)。今のところ交付申請は2022年3月31日までの予定です。なお当補助金は図表2~7で解説したZEH関連の補助金とは併用ができません。

図表9:東京ゼロエミ住宅のイメージ
参照元)一般社団法人環境共創イニシアチブのWEBサイトより
図表10:東京ゼロエミ住宅導入促進事業

3.省エネ住宅には優遇制度あり

 ZEHには光熱費を安くできるというメリットがある他、高断熱化で住宅内の温度差が小さくなることでヒートショックを防ぎ健康にもプラスというメリットもあります。また太陽光発電により停電時でも電気を使えるというのもメリットと言えるでしょう。
 さらにZEHに限ったことではありませんが、住宅を省エネ化することで優遇を受けられる場合があります。主なものをまとめると図表11のようになります。

図表11:省エネ住宅の主な優遇(住宅を新築する場合)
※省エネ住宅の基準を満たさない場合でも、他の基準を満たすことで、住宅取得等資金贈与の非課税措置の最大非課税額が1,500万円になる場合や、フラット35Sの金利引下げが受けられる場合があります。

 図表11を見てわかるように、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅には特に厚い優遇制度があります。駒沢公園ハウジングギャラリーに出展するハウスメーカーで建てる場合の多くは、これらの住宅の基準を満たすはずです。

 今回はZEHの補助金を中心にまとめました。ZEHの補助金を利用するには、ZEHビルダー等が関与した住宅であるという条件がありますが、駒沢公園ハウジングギャラリーに出展しているハウスメーカーはZEHビルダーとして登録されているところが多いです。各補助金の細かな条件や省エネ住宅の優遇制度についての詳細、最新情報はハウスメーカーにも確認してみるようにしましょう。

※2020年5月20日時点の情報に基づいています。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®

株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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