第32回

相続対策と将来性を考える
二世帯住宅の建て方ガイド

二世帯住宅は相続税対策になると言われることがあります。世田谷区をはじめ東京都心部は土地の価格が高く、相続税も高額になる可能性があるだけに二世帯住宅に関心を寄せる人も多いです。ただし二世帯住宅の検討時には相続税のことだけでなく将来どう活用するか等も考える必要があります。今回は二世帯住宅のメリットや注意点について解説します。

ここがポイント
  • 小規模宅地の特例を理解すると二世帯住宅のメリットがわかる
  • 親などからの資金援助は贈与税非課税措置の活用を検討
  • 二世帯住宅の検討では将来を考えたプランニングも大事

1.二世帯住宅が相続税対策になると言われる理由

 

 相続税を計算する際、土地の評価は「路線価」を基にして計算されます。路線価を基に計算された土地の評価額は実際に売買される金額よりも低くなるのが一般的ですが、それでも世田谷区をはじめ東京都心部にある土地を相続すると、やはり高額になってしまいます。
 しかし「自宅の建っている土地」を、その所有者が亡くなり誰かが相続する場合、一定の条件を満たすと、相続税計算上の土地の評価額を下げられる特例があります(小規模宅地の特例)。

図表1の条件を満たすと、330㎡以下の部分については土地の評価を80%減できます。たとえば相続税計算上、本来は8,000万円の評価の土地であっても、この特例を使うと80%減の1,600万円の評価にできるということです。

図表1:小規模宅地の特例を利用できる条件

※②、③、⑤では「相続税の申告期限まで所有していること」というのも条件になっています。
※③の「自宅を所有したことがない」には「取得者の配偶者が所有する家屋にも居住したことがない」を含むなど細かな条件が付されています。
※⑤の「生計を一にする」というのは生活費や療養費等の仕送りをしていること等が該当。ただしこれに該当するかは税理士等に確認することをお勧めします。

逆に図表1の条件を満たさなければ、この80%減の特例は使えません。「親の自宅がある土地」とは別のところに子が土地を購入して自宅を建てたとします。その子が「親の自宅がある土地」を相続しても、図表1のどの条件も満たないため、この80%減の特例は利用できないということになります。

一方、親の自宅を二世帯住宅に建て替えた後、親名義の土地を子が相続する場合、②の条件を満たすので、80%減の特例が使えます(図表2)。

図表2:二世帯住宅が相続税の節税になる理由

※二世帯住宅が相続税対策になる理由については「二世帯住宅は相続税で有利になる? 小規模宅地の特例と2018年の改正点」でも解説しています。

2.親などからの資金援助には贈与税非課税措置の活用を

 親の自宅を建て替えて二世帯住宅にする場合、子にとっては土地を購入しなくて済む分、資金計画は楽になります。一方で解体費用がかかるのと二世帯が住むために床面積を広くする分、建物価格は高くなります。
少しでも資金計画を楽にするために親からの資金援助を考えている場合も多いでしょう。親から子に現金を贈与しそれを住宅取得に充てる場合、図表3のように一定金額まで贈与税が非課税になる措置があります。

図表3:住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置の非課税限度額 ※1

※1 消費税10%の住宅の場合の金額
※2 省エネ等住宅とは以下のいずれかを満たす住宅
①断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

 2020年12月に与党から発表された税制改正大綱には、2021年4月以降も非課税限度額がその前と同じ額まで拡大すると記載があります(本来、非課税限度額は縮小される予定でした)。図表3の赤字部分はその記載に則った数値にしています。

 贈与を受けると子の資金計画が楽になるメリットがあるだけでなく、親の相続財産を減らすことにもなります。もし相続税対策が必要な場合には1つの有効な方法になるでしょう。

3.将来のことも考えたプランニングを

 二世帯住宅を検討する場合、将来のライフスタイルの変化についても考えることが大切です。たとえば親に介護が必要になった時や、親が亡くなった後はどうするのか、自分の子(孫)が独立した時にどうするのか、といった点についてなどです。

二世帯住宅には大きく分けて完全分離型、完全共有型、部分共有型の三種類があります(図表4)。

図表4:二世帯住宅の3種類

 それぞれにメリット、デメリットがあり、どのように暮らしたいかという観点や予算の面、将来どうしたいか等から決めていくことになります。二世帯住宅を完全分離型にしておくと、ライフスタイルの変化に柔軟に対応しやすいというメリットがあります。たとえば、親世帯が亡くなった場合等に賃貸に出し、自分の子(孫)が結婚した後は二世帯住宅に戻すことも可能です。

なお完全分離型で、それぞれの居宅を親と子で区分所有登記してしまうと相続の時に図表1の条件を満たさず特例が受けられなくなる可能性があるので注意が必要です。

 今回は二世帯住宅についてまとめました。将来どのように活用したいかによっても二世帯住宅のタイプや必要な間取りも変わってきます。建てる前にじっくり計画を練ることが大切です。駒沢公園ハウジングギャラリーのハウスメーカーに事例等を聞くなどして情報収集するのがよいでしょう。また二世帯住宅のメリットや、今回紹介した各制度の詳しい情報についても、ハウスメーカーにその最新情報を確認してみましょう。

※ 2021年1月10日時点の情報に基づいています。

監修・情報提供:井上光章 (ファイナンシャルプランナーCFP®

株式会社FPアルトゥル代表取締役。
独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティング、相続、資産運用のコンサルティングを主な業務として行う。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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